コラム

糖尿病患者必見!膵臓がんのリスク因子


膵臓ガンから命を守るには、危険因子を知ることが大切です。

膵臓ガンは進行が早く予後が悪いこと、検査でも見つけにくいことは広く認知されるようになりました。詳しい発症のメカニズムはまだ解明されていませんが、発症に関係する危険因子はいくつか明らかになっています。

その中でも比較的対象者が多く、膵臓ガンを罹患しやすい因子とその危険率は以下のように報告されています。
(1) 膵臓ガンの家族歴・・・・13倍
(2) 糖尿病・・・・・・・・1.8~2.1倍
(3) 喫煙・・・・・・・・・・2~3倍
(4) IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)・・・0.95~1.1%/年(罹患率)

家族歴や、糖尿病、喫煙などが膵臓に限らず多くのガンの危険因子であることは一般化されつつありますが、IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)とは一体何なのでしょうか?

IPMNはガン化しやすい膵臓腫瘍のひとつです。

膵のう胞とは、膵臓の膵管にできる粘液を含んだポリープ状の腫瘍で、当クリニックの腹部エコー検査でも月に10人ほど発見される膵臓腫瘍のひとつです。
膵のう胞にもいくつかの種類があり全てが「悪性病変」という訳ではありません。
しかし、膵のう胞の中でも「IPMN」と呼ばれるものは、膵臓ガンの発生母地と考えられています。
このため、私たち超音波検査士は膵のう胞を発見するとIPMNを疑い高周波プローブという解像度の高いデバイスに切り替え注意深く検査をします。

IPMNは発生場所により次の3つのタイプに分けられます。
(1) 主膵管型IPMN・・・太い膵管本幹から発生するタイプ
(2) 分枝型IPNN・・・・膵管の細い枝に発生するタイプ
(3) 混合型IPMN・・・・そして主膵管型・分枝型が併存したタイプ

この中でも、主膵管型IPMNは悪性の頻度が高いため注意が必要です。
特に主膵管の太さが10mm以上の場合はハイリスク群と考えられ、外科的根治手術が勧められています。

分枝型IPMNは、そのものがガン化する頻度は低いと言われていましたが、膵臓ガンを併発する可能性が近年指摘されています。

IPMNを見つけるにはエコー検査が合理的です。

IPMNはエコーのほか、CTやMRIでも発見することが出来ます。
しかし、被爆の危険性や利便性、費用面の観点からエコー検査が第一選択と考えられます。
膵臓ガンは、腫瘍マーカーなどの血液検査でも早期に異常値が出にくく、ほとんどが無症状のまま進行します。
しかし、ガン化する前に「膵のう胞」を見つけられれば悔しい思いをする前に外科的根治手術が可能となります。
このため、膵臓ガンの家族歴のある方、糖尿病の診断を受けられた方など、危険因子を抱える方が年に1度の腹部エコー検査を受けられることを推奨いたします

参考文献
日本膵臓学会:膵癌診療ガイドライン2009年版

錦糸町内科ハートクリニック エコー室 酒井健行

 

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