
- 在宅終夜睡眠ポリソムノグラフにより、より正確に睡眠時無呼吸症候群の診断が自宅でも行えるようになりました。
- 簡易検査でCPAPの対象とならなかったかたも重度な睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあります。日中の眠気やいびきなどの症状があるかたはぜひご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に一時的に呼吸が止まったり呼吸が浅くなったり弱くなったりする状態が繰り返し起こる病気です。睡眠時無呼吸症候群は良質な睡眠をえられず日中の眠気を引き起こすのみではなく、交通事故の原因となったり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病や心不全や脳卒中の危険性が高くなります。
睡眠時無呼吸症候群の診断には終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)がもっとも標準的な検査です。これまでは病院に1泊以上入院する必要がありましたが、当院ではご自宅で行う終夜睡眠ポリグラフ検査(在宅PSG検査)が可能です。
自宅で普段と同じ環境でリラックスして検査ができること、時間的にも費用面でも負担少なく検査することができます。
一般的な睡眠時無呼吸症候群の検査と治療の流れは?
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合にはまずは自宅で簡易睡眠検査を受けていただきます。簡易睡眠検査による重症度に応じて、精密検査を追加したり治療方法を決定します。
STEP 1 初診
睡眠の質や症状を問診し、のどなどの診察を行います
STEP 2 自宅での簡易睡眠検査
鼻センサー、指センサーを用いて「呼吸」「いびき」「SpO2(酸素飽和度)」「脈拍」を測定出来る検査です。
STEP 3 再診
簡易睡眠検査の結果から診断と治療方針を決定します。簡易検査でRDIが40回以上であればCPAPの適応となります。
RDIが40未満の場合は保険診療でCPAP治療を行うことが出来ないため、マウスピースによる治療や終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)による精密検査を行います。
(RDI:1時間あたりの無呼吸と低呼吸の数)

STEP 4 治療を開始
在宅PSG検査とは?
PSG検査はおもに簡易検査で1時間あたりの無呼吸の回数が20回から40回のかたが対象となります。
在宅PSG検査は病院ではなく自宅で睡眠時の状態を記録する検査です。従来のPSG検査は入院が必要でしたが、在宅PSG検査なら自宅で普段どおりの睡眠を取りながら検査が可能です。
病院で行うPSG検査に比べて測定項目はやや少なくなりますが、睡眠時無呼吸症候群を正確に診断することが可能です。
簡易検査との違い
- 正確に無呼吸の回数が測定できる
- 脳の呼吸中枢の機能異常により、睡眠中に無呼吸を起こしている状態である中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)を診断することができる
- 睡眠の周期や姿勢による無呼吸の変化を判別することができる
PSG検査の対象となるかた
- 簡易検査で無呼吸の回数が1時間あたり20回以上40回未満のかた
- 簡易検査で著しい酸素濃度の低下を認めるかた
- 十分な睡眠時間をとっていても日中の眠気や倦怠感、集中力などの低下などの睡眠時無呼吸症候群を疑う症状があるかた
在宅PSG検査と入院によるPSG検査の違い
在宅PSG検査は睡眠時無呼吸症候群を診断するために行います。
過眠症や睡眠時随伴症(周期性四肢運動障害、ムズムズ脚症候群が疑われる場合には四肢の動きの観察や日中の検査も行う必要があるため、入院によるPSG検査をお勧めすることがあります。

在宅PSG検査のメリット
- 自宅でリラックスして検査ができる
病院での検査では、慣れない環境での睡眠となりますが、在宅PSG検査ではいつもと同じ寝室で眠れるため、より自然な睡眠状態を記録できます。 - 入院の時間的・金銭的負担が少ない
病院でのPSG検査は1泊入院が必要ですが、在宅PSG検査では仕事を休む必要がありません。 - 検査の予約が取りやすい
病院でのPSG検査は予約が埋まりやすく、数ヶ月待ちになることもあります。一方、在宅PSG検査ではスムーズに検査を受けることができます。
在宅PSG検査の流れ
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合にはまずは自宅で簡易睡眠検査を受けていただきます。簡易睡眠検査による重症度に応じて、精密検査を追加したり治療方法を決定します。
STEP 1 診察
簡易検査の結果や症状を確認します。他院で簡易検査を実施された方は結果をお持ちください。
STEP 2 自宅での在宅PSG検査
フィリップス社から検査機器が配送されますので、お受け取りください。
就寝前にご自身で検査機器を装着していただきます。動画による説明をみながら簡単に装着することが可能です。検査が終わりましたら、検査機器の返送をお願いします
STEP 3 再診
検査終了後10日後以降に診察を御予約ください。
在宅PSG検査の結果から診断と治療方針を決定します。簡易検査でAHIが20回以上であればCPAPの適応となります。AHIが20未満の場合は保険診療でCPAP治療を行うことが出来ないため、マウスピースによる治療を行います。
STEP 4 治療を開始
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、放置すると健康リスクが高まる病気ですが、早期発見・治療によって改善が可能です。在宅PSG検査により自宅で手軽に正確な睡眠時無呼吸症候群の診断を受けることができます。
簡易検査でCPAPの対象とならなかったかたも重度な睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあります。日中の眠気やいびきなどの症状があるかたは一度ご相談ください。
シンシア医師 石川浩雅
錦糸町内科ハートクリニック
〒130-0022 東京都墨田区江東橋4-27-14 PARCO 7F
内科・循環器内科・糖尿病内科・呼吸器内科