コラム

高血圧と腹部大動脈瘤の危険な関係を知っていますか?


腹部大動脈瘤は致死率の高い危険な血管病変です

腹部大動脈瘤とは本来20mmほどの腹部大動脈に30mm以上に拡張した「瘤(りゅう)」ができる病気です。この病気自体に痛みなどの自覚症状はありません。

しかし、腹部大動脈に出来てしまった「瘤(りゅう)」が圧力に耐えられず破裂することがあります。
腹部大動脈瘤”破裂”と言われる大変危険な状態です。腹部大動脈瘤破裂は、破裂した約半数の方は病院到着前に命を落とし、病院までたどり着き緊急手術を行ったとしても、その約半数の方も亡くなると言う致死率の高い腹部大動脈瘤の終末像です。

高血圧や喫煙歴などがある方は、危険リスクが高い事が指摘されています。

発症は加齢に伴い増加し、60歳以上の4~9%に腹部大動脈瘤を認め、65歳以上の2~4%には破裂リスクが高いとされる40mm以上の腹部動脈瘤を認めます。
また、加齢だけでなく次の危険因子を持つ方は、よりリスクが高いため医療機関で検査を受けることを推奨いたします。

(1)高血圧・・・・1.2倍
(2) 喫煙・・・・・・5.0倍
(3) 性差(男性)・・・4~5倍
(4) 冠動脈疾患・・・1.4~1.6倍
(5) 動脈瘤の家族歴・・・4.3倍

早期に腹部大動脈瘤を見つけるために、エコー検査を推奨いたします。

この「瘤」を破裂前に見つける方法として腹部エコー検査を推奨いたします。
他にもCTやMRI、カテーテル検査でも精度良く見つけることが出来ますが、利便性や検査費用、安全性の面から考えて第一選択は腹部エコー検査が優れています。
他の検査方法は、腹部大動脈瘤の唯一の治療方法である外科手術の術前検査として、病変を精査する際に用いることが効果的です。

また、腹部エコー検査は腹部大動脈瘤だけでなく、肝臓・胆臓・膵臓・腎臓・脾臓など様々な臓器の病気も同時に見つけることも出来ます。
ご希望の方はお電話でご相談、予約いただけると確実です。

参考文献
日本内科学会:学会誌第99巻第2号大動脈疾患 大動脈解離と胸腹部大動脈瘤:診断と治療の進歩

錦糸町内科ハートクリニック エコー室 酒井健行

 

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